要約筆記用パソコンソフト「IPtalk」・「captiOnline」!特徴や導入方法を解説

要約筆記用パソコンソフト「IPtalk」・「captiOnline」!特徴や導入方法を解説

要約筆記は、聴覚に障がいのある方や耳が聞こえにくい高齢者の方へ「話の内容を文字で伝える」大切な情報保障の手段です。

要約筆記には、パソコン要約筆記と手書き要約筆記の2種類があり、パソコン要約筆記で利用されるソフトには「IPtalk(アイピートーク)」や「captiOnline(キャプションライン)」などがあります。

今回は、「IPtalk」や「captiOnline」のソフトの特徴や導入手順等について解説していきます。

IPtalk(アイピートーク)の特徴

IPtalk(アイピートーク)について解説します。

IPtalkの特徴

IPtalkは、リアルタイムで要約筆記が可能なソフトウェアで、複数人での同時入力が可能です。

また、ネットワークを介した遠隔作業にも対応し、幅広い情報共有を実現しています。

リアルタイム表示機能は、話された内容を即座に文字化し、画面上に字幕として表示する技術です。

この機能により、会議や授業での情報共有がスムーズになり、聴覚障害者を含む全ての参加者が内容を視覚的に確認できます。

活用例としては、会議やセミナーでリアルタイム字幕表示に活用できるほか、教育現場で聴覚障害者のサポートツールとして利用されています。

会議やセミナーなどの全体投影では、主に2人ペアの2チーム交代で、要約筆記をしています。

「全国要約筆記者認定試験」で使用しているソフトも、IPtalkです。

IPtalkのダウンロード

IPtalkを導入するには、公式サイトからソフトをダウンロードしてください。

最新バージョンは「iptalk9t69c」(2025年8月現在)です。

Windowsなら、どのバージョンでもダウンロードが可能です。

また、不具合が発生した場合の対処方法も詳しく記載されています。

ダウンロード:IPtalk
マニュアル :IPtalkビデオマニュアル

ダウンロード直後は、初期画面が表示されます。

マニュアルも一緒にダウンロードして、各々が使いやすい環境に整えてください。

全国にはたくさんの要約筆記サークルがあります。

興味のある方は、ぜひお近くの要約筆記サークルに参加して、操作方法を学んでみてください。

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IPtalkの開発者:栗田 茂明 氏

IPtalkは、栗田茂明さんという方が開発し無料で配布しています。

当初は、パソコン要約筆記サークル「ラルゴ」で活動していましたが、2008年に解散しています。

現在は、「特定非営利活動法人 日本遠隔コミュニケーション支援協会」の理事長をしていらっしゃいます。

名称 :IPtalk(アイピートーク)
開発者:栗田 茂明(くりた しげあき)
配布開始:1999年頃
料金  :無料
動作環境:WINDOWS

IPtalkの開発者である栗田茂明さんが、IPtalkを開発するに至った背景について語っていました。

私は,1998年に全国障害者スポーツ大会「かながわ・ゆめ大会」の要約筆記ボランティアに参加した。

それまでの大会では,手書き要約筆記だけだったが,初めて「パソコン要約筆記」を行うことになった。

しかし,当時のパソコン要約筆記は,ワープロソフトを使い1人で入力する方式だったため,非常に速い入力速度が必須だった。

集まったボランティアたちの入力技能では難しかった。

そこで2人連係入力を練習しようと,前述したtalk2を使ってみたのだが,結局,リアルタイム字幕はあきらめて,事前に準備したシナリオ原稿を表示することになった。

そして大会の後,その時のボランティア仲間とパソコン要約筆記サークル「ラルゴ」を立ち上げた。

当時は,パソコン要約筆記の公的派遣は行われていなかったので,活動するためにはボランティアサークルが必要だった。

当然だが,一般の情報保障で必要とされるのはリアルタイム字幕であった。

そこで2人連係入力を試してみようと,1999年5月にサークルの練習会用に作ったのがIPtalk2aだった。
(中略)

2000年3月に開催された第2回全国パソコン要約筆記指導者養成講座でIPtalkを説明する機会があり,それをきっかけに全国に広がった。

引用:IPtalkの開発とパソコン要約筆記:聴覚障害者のための情報保障

今や要約筆記の主力ツールとして活用されているIPtalkには、こんな背景があったんですね。

以下の資料には、栗田茂明さんの紹介と開発の経緯が記載されていますので、ご覧ください。

・IPtalkの開発の経緯と今後の展望:150418jimaku_sympo.pdf
・J-STAGE 情報管理:Ptalkの開発とパソコン要約筆記:聴覚障害者のための情報保障

このなかには、「パソコン要約筆記の普及とともに18年間ボランティアとして活動してきた」とありました。

このような方がいたから、今日の要約筆記は活動をより活発に進めることができるんですね。

 
素晴らしい方ですね


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captiOnline(キャプションライン)

captiOnline(キャプションライン)について解説します。

 
きれいな配色で目にも優しいですね

captiOnlineの特徴

captiOnlineは、要約筆記ソフトの中でも手軽で便利なクラウド型ソリューションです。

ブラウザベースで手軽に利用でき、ソフトのインストールが不要な点が最大の特徴です。

さらに、高精度な音声認識機能を持ち、多人数での共同編集やリアルタイム共有が可能で、幅広いシーンで活躍します。

デバイスを問わずアクセスできるため、作業の幅が広がります。

さらに自動アップデートで常に最新機能が使え、多人数でのリアルタイム共有もスムーズです。

柔軟性と利便性が高い点が特徴です!

しかしデメリットも存在し、操作環境やインターネット回線の安定性に依存するため、適切な設定と環境が必要です。

また、音声認識の精度は環境や話者により変動することがあります。

captiOnlineの導入

captiOnlineの導入は簡単です!

ウェブベースのため、ソフトのインストールは不要。

ブラウザ(Chromeを推奨)で公式サイトを開き、起動してください。

ウェブページが見れるネットワークに接続していれば利用可能です。

あらかじめ、専用ルームの作成を依頼すると、次回から登録済の専用ルームから入ることが出来ます。

詳細については、公式サイトをご覧ください。

ブラウザは、Chromeを推奨しています。

・Chrome:captiOnlineのすべての機能が利用(オススメ!)
・Safari,Edge:音声配信や音声認識に関する機能が利用できない可能性があります
・Firefox:連係入力の動作に不具合が出ます
・その他:映像や音声などのメディアを利用した機能以外は動作すると思います

引用:ウェブベース遠隔文字通訳システムcaptiOnline

また、OSを問いません。

Windows、MAC、スマートフォンなどどれでも利用できます。

その後、共有したい会議やセッションを設定し、参加者にリンクを送るだけ!

音声認識機能やリアルタイムの字幕作成が可能なので、聴覚障害者支援に最適です。

captiOnlineの開発者:若月大輔 教授

captiOnlineは、筑波技術大学産業技術学部 産業情報学科に所属している若月大輔教授が開発し作成しました。

名称 :captiOnline(キャプションライン)
作成者:若月大輔 教授(筑波技術大学産業技術学部 産業情報学科 )
開発言語:JavaScript、HTML5
料金  :無料

若月大輔教授の学歴は、新潟大学 工学部 情報工学科を経て、新潟大学 大学院自然科学研究科 情報理工学専攻を修了しています。

その後、新潟大学の助手を経て、現在は筑波技術大学産業技術学部産業情報学科の教授を務めていらっしゃいます。

若月大輔教授から、高校生のメッセージです。

私は高校時代からコンピュータグラフィックス(CG)に興味を持ち、大学では情報工学を学びました。

しかし、聴覚障がい学生が学ぶ筑波技術大学で教え始めると、学生たちをサポートしたいという気持ちがとても強くなり、気がついたらCGよりも聴覚障がい者のための技術開発の研究にどっぷりとつかっていました。

あなたもいま自分の興味あることに取り組んでいると思いますが、将来何をやることになるかはわかりません。

常に視野を広く持ち、いろいろな知識や技術を吸収する姿勢を忘れないでください。

引用:国立大学56工学系学部

 
夢中になれるものに出会い、それが社会の役にたてたら最高ですね

まとめ:要約筆記用パソコンソフト「IPtalk」と「captiOnline」について

「IPtalk」と「captiOnline」は聴覚障害者を支援する要約筆記用ソフトウェアです。

「IPtalk」についてまとめると以下のようになります。

IPtalk(アイピートーク)

導入  :サイトからパソコンにダウンロードして使用。(無料配布)
動作環境:Window、ネットワーク環境不要(LANで接続)
利用  :ネットワーク環境がなくてもハブに接続し、複数人で連携入力を行う。
開発者 :栗田茂明氏「特定非営利活動法人 日本遠隔コミュニケーション支援協会」の理事長

「captiOnline」についてまとめると以下のようになります。

captiOnline(キャプションライン)

導入 :インストール不要でブラウザベースで使用できる。(無料)
利用 :ネットワークに接続し、複数人で連携入力を行う。
開発者:若月大輔 教授(筑波技術大学産業技術学部 産業情報学科 )

「IPtalk」と「captiOnline」の機能や導入方法の解説、開発者について紹介しました。

どちらも操作手順が各サイトに掲載されていますので、誰でもすぐに使用することができます。

興味のある方は、一度使って見てください!

 
最期までご覧いただき、ありがとうございました!